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ならまち月燈はおかげさまで6年目を迎えました

 2018年に尾垣先生と二人で始めた「ならまち月燈」は、あっという間に満5年を迎え、6年目を迎えます。

 

 女性にほっと肩の荷を下ろしていただく、駆け込み寺のような、大人女性の保健室のような場をつくりたいという想いは、ありがたいことに、たくさんの女性がお気持ちを寄せて下さり、女性の居場所としての機能を細々とですが、果たせるようになってまいりました。

 

 特に思いもかけない新型コロナウイルス禍において、最初は三密を避けるということがとりわけ強調されておりましたから、三密どころではない密な接触を必要とする鍼灸指圧マッサージというような業態では、永らく皆様のお役に立てる日が遠のくのではないかと思っておりました。

 

 でも、有難いことにそうではありませんでした。

 

 日常的なおしゃべり、女子会、親密な身体的な接触、例えば手を繋ぐ、背中に手をあてる・・・というような温かい交流をためらってしまうほど、用心深くあらねばならない毎日にこそ、こういう場を必要としてくださるんだなぁと日々思わされます。

 

 2020年に津田先生と佐藤先生をお迎えし、2021年に長嶺先生をお迎えしてから、陣容も充実し、より多くの方とご縁を繋ぐことができるようになりました。

 

 東洋医学では「氣」という概念を大切にします。

 

 「氣」が合うということは、施術者と患者さんの間においてもとても大切です。それが現代西洋医学との大きな違いであると私は思っています。

 

 例えば、西洋医学における診察や手術や薬、ワクチンといったものは、施術する側とされる側の「氣」が合うとか相性とか、そういったものに左右されてはなりません。もちろん、手術の巧拙については医師によって差はあるでしょうが、より上手に的確に早くという方向性を全医師が目指し、そこに個性は必要ないでしょう。

 

 投薬についても、プラセボ効果は間違いなくあるはずですが、治験の時点でわざわざそれを回避するほど、投薬する人によっての効き目の差はあってはならないことになっています。

 

 反して、東洋医学では・・・というとくくりが大きくなってしまうので、鍼灸指圧では・・と申し上げますが、施術者の技術の上手さよりも、患者さんとの「氣」の合い方が大きく意味を持つように感じています。

 

 なので、私ではちっとも楽になって頂けなかった患者さんが、他の先生だとあっという間に改善する・・というようなことが、多々起こり得ます。

 

 現代社会において、人はとても「氣」をつかいます。

 

 「氣」をつかうという言葉には、二種類の漢字が充てられます。「氣を使う」と「氣を遣う」。

 

 「氣を使う」…使用するに代表されるように、モノを扱うように使うと「氣」は減ります。一方的に「氣」を消耗して、枯渇していくようなイメージです。

 

 「氣を遣う」…遣隋使など、こちらからの働きかけとして先に「氣」は相手に渡りますが、なにがしか還ってくる「氣」のやりとりがあるイメージです。50渡して50還ってくるフィフティフィフティのものではありませんが、未知数のなにかが還ってきます。

 

 私は開院する時に、色々なものを背負った女性の居場所をつくりたいと思い、月夜にうかぶささやかな燈火のような存在になりたいと願い、その願いはほぼ満たされています。

 

 この5年間に多くの女性がご来院くださり、おからだの悩みを打ち明け、それを通して家族の、職場の、人間関係の、生きる意味を問いかけて下さり、笑い、泣き、悩む場としてお役立ていただきました。

 

 今、お通い頂いている患者様方とは、濃淡はあっても、とても生き生きとした「氣」の遣りとりがあり、それがとてもよい全体の「氣」の循環となっています。もちろん、私がよりたくさんの「氣」をお渡しできたらいいなぁ・・と思っていますが、患者様からたくさんの「お気遣い」や「思い遣り」を頂戴することも多く、計量できないけれども豊かな「氣」がたっぷりと行きかう空間となって、パワースポットのようになっていると感じます。

 

 私の力不足から、症状が解消しなかったり解決しないことはよくあるのですが、それでも一緒にそれを抱える場として選び続けて頂いていることが有難く、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 心理学やカウンセリングにおいては、「ラポール…心が通い合う関係」の形成が重視されますが、ほぼそれと同義で、氣のやりとりのある患者さんとは色々なことがとても楽で、滞りがない時間が過ごせます。

 

 しかし私だけではなく、それぞれの先生方にそれぞれの「氣」の合う患者さんが集まって下さるようになった結果、現在予約が大変取りにくくなっています。大変申し訳ないことでこれでは誰にとってもどこかに「氣」の滞りを生んでしまうと思い、ある決断をいたしました。

 

 「おはじめの2回券」は、創業のときから「ならまち月燈」をよくわかっていただくための導入として、とてもお役立ちのシステムでしたが、これを廃止します。そして、初診の方は、それぞれの先生方の裁量において、空き枠ができてくれば、受け入れる形にしたいと思っています。

 

 私、福田に関しましては昨年秋から新患さんの受付を停止しておりますが、まだしばらく卒業していかれる方の数が読めないので、夏ぐらいまでは既存の患者さんのご紹介の方に限らせて頂きます。

 

 でも、もちろん「ならまち月燈」に期待を寄せて下さる女性のリクエストにはお応えする使命があると思っているので、新しい先生をお迎えしようと準備中です。

 

 女性はライフステージによって、働ける場、時間が限定されることが多いと思います。

開業したいけど、フルタイムで働くのは難しいと思われる鍼灸師、按摩マッサージ指圧師の先生のファーストステップを是非お手伝いさせて頂きたいと思います。どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

 そして、去年の創業記念日のブログに公開しました「奈良女子養生舎」ですが、一年間試行錯誤を繰り返してまいりまして、温かいご支持を受けておりますこと、誠に有難く厚く御礼申し上げます。

 

 今年は更に多くの方々のお役に立てるよう、場を拡大するべく準備期間に入ります。

予約サイトその他の変更などでお手数をおかけすることになりますが、温かくお見守り頂ければ幸いです。

 

 「ならまち月燈」のかたちは定まりつつありますが、「奈良女子養生舎」は揺籃期にあり、一番必要なこと、必要とされることはなんだろう・・という問いを繰り返しながら少しづつ展開してまいります。

 

 

 まだまだ、「ならまち月燈」も「奈良女子養生舎」も進化の途上です。

 より善く、温かく、優しい場所になりたいと思っています。

 

 6年目も相変わりませず、どうぞよろしくお願い申し上げます。