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ならまち月燈はおかげさまで5年目を迎えました

女性臨床鍼灸ならまち月燈は、今日で丸4年、5年目を迎えることができました。

 

尾垣先生と2人で始めた小さな鍼灸院ですが、お通い下さる患者様のおかげ、ならまちという土地のおかげ、建物のオーナー様のおかげ、何よりも患者さんのことを第一に考え、温かい施術と優しい氣でこの部屋を満たして下さる先生方のおかげで、大人女性の保健室とのはじめの想いどおりに、たくさんの女性の憩いの場のように機能するようになってきました。

 

鍼灸というものが、あまり身近でなかった方も、ここなら何とかしてくれるかも…というお気持ちで、はるばるご遠方からもお越しくださることが多くなりました。

 

今は、5人の女性鍼灸師が曜日担当として、定休日なしで毎日患者さんをお迎えしていますが、完全個室2室でのお1人づつの施術のため、受け入れ枠としては限られており、申し訳ないことに新患さんの受け入れをひと月ほどお待ちいただかなければいけない状況になってまいりました。

 

①おつらい症状を抱えて病院にいってもどこも悪くないと言われ、東洋医学に希望をもっていらして下さる方。

 

②病院に行くほどではないけれども、なんとなく不調、やる気が出ない、疲れが取れない未病の段階の方。

 

③対処療法に疑問を抱き、根本的な体質の改善を求めて、統合医療のひとつとしての鍼灸を求めてお越しくださる方。

 

④女性専用サロンとしての安心を求めて、女性の施術者を検索してお越しくださる方。

 

「ならまち月燈」には、同じ症状のように見えていても、それぞれ違う想いを抱えた女性がお越しくださっています。軽くみえる症状の裏に、重いお悩みが隠れていることもあり、症状の軽重で患者さんの当院への必要度をはかるわけにもいかず、できるだけ多くの女性に、一番必要とされているときにお越し頂くにはどうすればいいのかをずっと考えておりました。

 

国家資格である鍼灸師、按摩マッサージ指圧師が保健所に届け出をし、厚労省に認可された施術所になれば、病気の治療として通院された費用に関しては、医療費控除の対象となります。

逆にいえば、医療費控除の対象となるのは①だけであり、東洋医学の得意とする未病を防ぐ…は予防にあたるので×

養生や体質改善というようなことも厳密には医療費控除の対象にはなりません。

 

本当は症状が出る前に、体調全般の不調があるはずなので、そのときにこそご来院いただきたいですし、通院していただくうちに症状が消失しても、定期的にご通院いただいてこそ、体調を安心して維持していただけるので、一度お越しいただいたら、一生責任をもって診るつもりでの施療なのですが、医療という枠にはめようと思うとそれも除外となってしまいます。

 

それと、これはもう一つの私自身の個人的な課題なのですが、「女性臨床鍼灸ならまち月燈」はその名の通り、鍼灸院としての命名です。

5人の鍼灸師のうち、私と佐藤先生は按摩マッサージ指圧師でもあって、佐藤先生はともかく、私に限っていえば施療の中心は指圧です。

 

按摩マッサージ指圧師という資格は、医療系の国家資格としてはとてもマイナーな資格で、開業権があるにも関わらず、按摩マッサージ指圧だけで開業する者は少なく、大抵、鍼灸師も同時取得するので、鍼灸院として開業することが多いのです。

 

私自身は在学中から指圧の師、画像の教科書の著者、吉岡祐三郎先生に惚れ込んでいましたから、指圧は素晴らしい技術、後世に伝えていきたい、いかなければいけない凄い技術…という想いはあったものの、その技術は難しく、とてもとても、最末端の最晩年の吉岡先生の弟子ですと名乗るなんてできないと思っていました。

 

私が卒業した京都仏眼鍼灸理療専門学校は、在学当時、関西伝統指圧を正課としており、それがどんなに有難い貴重な財産だったかは、のちに臨床に出てから知ることになります。

 

指圧は、診断即治療といわれ、触りながら診断しながらその指や手掌がそのまま治療になるという高等な技術です。

患者さんのおからだに触れると、いろいろな滞りや結ぼれに指が止まります。そこに指を止め、じっくりと圧を浸透させると、その滞りは変化します。

いわゆるツボが開く状態になります。

鍼灸師で、指が止まるそこに鍼をしたりお灸をしたりする流派もありますが、理論的な構築があって、全然そことは違う遠隔に鍼をする流派もあります。

 

でも私は鍼灸師として未熟なこともあるのでしょうが、「あ、そこそこ・・・」と患者さんが思わず叫ぶような、その一点に導かれ共鳴しながら圧する指圧を愛してやみません。

自分自身の体調が悪いときにも、まず鍼灸院より指圧院、指圧院と名乗っていらっしゃるところは少ないので、整体院や、リラクゼーションに行きます。

 

東京には浪越学園日本指圧専門学校があり、その卒業生が指圧院を開業されているのを見聞しますが、関西ではあまり街中で見ることもありません。

京都に住んでいたころは、仏眼の先輩が開院されているところに通院していたこともありますが、奈良はそもそもの選択肢が少なく、鍼灸や、整骨ではない治療院が稀有なのです。

 

指圧という技術は、カイロプラクティックやオステオパシーといった外来の技術も含んだ、大技、力技も多様に組み込んだ技術なので、男性に有利なように思いますし、活躍されている指圧師といえば、男性しか浮かびません。

 

でも、女性には女性らしい技があるでしょうし、ありがたいことに女性専門の院で臨床を重ねるうえでは、女性の施術師というだけで安心してゆだねていただける利点もあります。

 

私自身が骨盤の周りや鼠径部、前胸部といったところは、異性に触られると思うだけで体が硬くなるので、女性同士だからこそ、身を開く、氣を開く、ツボが開く…という点で楽をさせていただいているなといつも思います。

 

指圧をメインにした女性専門の施設をつくりたい。

 

それにはどうすればいいのだろう・・・。

 

恩師の遺作となってしまったこの高著を繰り返し読み返しながら、毎日毎日考えています。

 

 

「女性臨床鍼灸ならまち月燈」は、これまで通り、女性国家資格保持者による鍼灸院として末永く女性のお役に立てる場であり続けたいと思っています。

 

そして、「奈良女子養生舎」は、国家資格によらない養生、未病を防ぎ、こころもからだも、女性のいのち全体を見守り寄り添い、伴走する場として新しく始めたいと思います。

 

今後の発展をお見守り下さい。