六十代のあなたに

現代の女性は総じて若く見えますが、六十代の女性の見た目の若さは本当に驚くばかりです。

 

髪の毛は染めていらっしゃるでしょうし、お化粧もなさっているのでそういう見た目はもちろんなのですが、施術着にお着替え頂き、無防備なおなかや背中、足をみても老いているという印象を抱くことはまずありません。

 

ですが、五十代までにはみられにくい不調がこの年代にはあります。

 

五十歳前後で閉経を迎え、いわゆる更年期障害にお悩みだった方もいつのまにか過ぎてしまった・・という方も等しく女性ホルモンの分泌が激減しています。

 

女性ホルモンのエストロゲンの分泌がとまると、粘膜下組織のコラーゲンが減少し、骨盤底筋がゆるみやすくなります。

 

骨盤底筋とは、自転車に乗った時にサドルに当たる部分といえばわかりやすいでしょうか、膣や尿道の入り口、肛門を取り囲む筋肉が周囲の組織を支える靭帯、神経と重なり合い、ハンモック状に張りめぐらされているインナーマッスルの集まりです。

 

骨盤底筋の伸縮力が衰えると尿もれを招き、子宮、膀胱、直腸の位置が下がって膣もゆるみます。更に進むと骨盤臓器脱といって、骨盤内の臓器が露出してくることもあります。

 

そういう状態になっていても、女性はどこに相談すればよいかわからず、悩みを抱えたままになさっている方が多いです。

当院にお越し頂くかたも、肩こりや腰痛でながらくお通いいただいたのちに、「実は・・」と打ち明けられることが多いのです。

 

まず、当たり前のことですが、骨盤底筋の衰えは程度の差こそあれ、誰もが感じることであり、決して恥ずかしいことではありません。

 

西洋医学では、局所の問題としてとらえますから、当然、内診も必要になるでしょうし、それがネックとなって受診されない方も多いと思われますが、東洋医学では、全体のバランスで診ますから、局所の治療は必要ありません。

 

よく、肩こりは肩に、腰痛は腰に鍼をするものだと思いこんでいらっしゃるので、痔の治療は肛門に鍼やお灸をするのかと思っていました・・と仰る方がいらっしゃるのですが、ならまち月燈では症状のあるところに鍼灸をしません。

(鍼灸院によっては、症状のあるところになさることがある・・というより、その方が多いかもしれません)

 

では、どうするかというと、まず骨盤内が冷えて、血流が落ちていることが多いので、足に鍼やお灸、指圧マッサージを施し、まず下半身に氣、血、水がめぐるようにします。

 

上半身は氣が停滞していることが多いので、氣が流れるような施療を心がけています。

 

 

寿命が延びた現代、六十代といえどもまだまだ新しいことにもチャレンジできる年代です。

 

 

不調を感じたら、早めに相談にいらしてください。

 

こじれてしまうと時間がかかります。

 

こんな不調とあんな不調が、思いがけず同じ原因で、鍼灸で一気に改善することもあります。

 

まだまだ、元気に楽しく人生を謳歌するためのこころとからだをご一緒につくりましょう。